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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第71章
「早く、目を覚ましてくれ……、その大きな瞳で、俺の事だけを見つめてくれ……」
そうヴィヴィの耳元で甘く囁いた匠海は、まだ妹が意識を失ったままであるのを確認すると、その顎を優しく引き寄せ、後ろから薄い唇に吸い付いた。
「早く、甘い声を聞かせてくれ……、ヴィクトリア……」
まるで人形遊びをしている様に、気を失ったままのヴィヴィに囁きかけ、その躰を愛おしそうに撫で摩る匠海の瞳には、喜びが満ち溢れていた。
しかしそれから数分しても、ヴィヴィは目を覚まさなかった。
寝ているというよりは、ぐったりしたその様子なので、まだ気を失ったままなのだろう。
やはり体調が悪かったのかと心配し始めた頃、ヴィヴィの長い睫毛を湛えた瞼が、ひくりと痙攣した。
何度か瞬きした後、覚醒したヴィヴィは、しばらくぼうと虚空を見つめていたが、やがて自分が背を預けている匠海に気づき、びくりと華奢な躰を震わせた。
「……あ……、ごめん、なさい……? あ、れ……?」
置かれた状況が把握できないのか、困ったように後ろの匠海を振り返ろうとしたヴィヴィの躰が、ひょいとその両脇に手を入れられ、持ち上げられた。
まだ妹の中に収められたまま、その硬さを失っていなかった匠海の陰茎が、ぬぷりと音を立てて抜き取られる。
ヴィヴィをシーツの上に下した匠海は、その顎を掴んでぐいと引き寄せた。
「何が『ヴィヴィは、こう見えて体力あるんだよ?』だ? 1回でダウンして」
威圧的に上から睨みつけ、そう叱責してくる匠海に、ヴィヴィが焦って口を開く。
「……っ ご、ごめんなさい……。あの、でも、まだ出来るよ?」
そう言ってくるヴィヴィの顔色は、紙のように白かった。
「もういい。寝るから、自分の寝室に戻れ」
匠海はそう命令すると、ヴィヴィの顎から手を離し、ベッドから降りると、寝室の鍵を開けて出て行った。
「………………」
(怒らせ、ちゃった……。どう、しよう……)
ヴィヴィはそう思いはするのだが、何故か頭の中はどんよりと曇っていて、その先を思考するのを、脳が拒んでいるようだった。