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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第14章               

「でも、今まで自分は、母であるコーチを始め、家族や周りのスタッフに沢山支えられて、ここまで来ることが出来ました。その恩に報いるにはオリンピックに出て、いい成績を残すことが一番の恩返しになると思いました。それに五輪を目指すことによって、演技のレベルも必然的に向上し、自分の糧になるんじゃないかと思うんです――」

「それは、つまり――?」

 インタビュアーの催促に、ヴィヴィは心を決めて宣言する。

「はい。私は来年のオリンピック出場を目指します」

(言っちゃった――もう後には引けない……)

 公言した途端、武者震いなのか、ヴィヴィの華奢な身体がぶるぶると震え始めた。

 妹の異変にいち早く気付いたクリスが、ヴィヴィの掌にそっと手を置く。

 暖かい体温が手の甲から染み渡り、ヴィヴィは徐々に落ち着きを取り戻していく。

「………………」

(そうだ、ヴィヴィは1人でオリンピックに挑むんじゃない――周りのスタッフや、クリスも一緒だ……)

 震えが収まったヴィヴィから手を放すと、クリスはインタビュアーに視線を移す。

「僕は、自分のレベルが少しでも向上する為だったら何でもします。オリンピック後に控えている世界フィギュアもそうですが、今までに挑戦した事のないことに挑むことで更にレベルが上がるなら、挑戦してみようと思います。つまり、僕も平昌(ぴょんちゃん)オリンピックを目指します――」

 しっかりとそう宣言したクリスに、カメラマンがシャッターを切りまくった。

「そうですか! お二人がそう決断されたこと、日本中のスケートファンが大喜びすると思います。期待しています、頑張ってくださいね!」

「「はい」」

 最後にツーショットを撮ると、取材陣は退室していった。

 会議室の扉が閉まる直前、

「これはトップニュースだぞ!」

と、囁く取材陣の声が漏れ聞こえた。

 その日の夜にはネットのトップニュースとして「全日本フィギュア制覇の篠宮兄妹、オリンピック宣言!」と報じられ。

 その後しばらくの間、双子は取材陣に追い掛け回されることとなった。

 ある日には2人の通うBSTにまで、コメントを取ろうと取材陣が殺到したが、日本スケート連盟が素早く対処してくれた為、翌日からはそういうことはなくなった。





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