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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第72章             

 いつの間にか全ての衣服を剥がれ、空気に晒された自分の肌の上を、兄の大きくて暖かい掌で辿られると、もうそこでは思考など、何の意味も持たなくなる。

「気持ち、いい……」

 そう素直に口にして、シーツの上で乱れながら兄を見上げれば、匠海はその全身を力強く抱きしめてくれた。

「ヴィクトリア、見ててごらん?」

 そう耳元で囁かれふと我に返ると、自分はいつのまにか兄の腰に跨らされていた。

 自分の腰を掴む匠海の大きな両手の下、充血して赤くなった亀頭が待ち構えている。

 その先の割れ目には、先走りの透明な雫がぷくりと浮き上がっていた。

 いつも不思議に思う。

 こんなに大きくて長いものが、自分の中に入ってしまうこと。

 その思いは14歳の夏、初めて兄の性行為を目にした時から変わらない。

 それだけ女の躰は、伸縮性に富んでいるという事か。

 どこまでも大きくて深い男の欲望を、受け止めるよう、包み込めるように出来ているという事か。

 それは、心にも通じるのだろうか。

 ヴィヴィの心には、自分が知らないだけで、兄の欲望の全てを受け止めるだけの、許容量があるのだろうか。

 まるでそれを見定めるように、ヴィヴィはその大きな瞳を、自分の膣口にぴたりと押し付けられているそこへと落した。

「んん……っ、入って、くる……っ」

 その昂ぶりの大きさに少し苦しさを覚えたヴィヴィは、はぁと何度か息を吐いて受け入れていく。

「うん……、ほら、入ったな。ヴィクトリアの中に、俺の、入っちゃったな?」

 まるで悪戯をしているような、そしてそれを妹と共有しているような匠海の言葉に、ヴィヴィは微笑む。

(やっぱり、可愛い……)

 その思いのまま、目の前の匠海の顔を、自分の小さな両手で包み込む。

 ちゅっちゅっと兄の顔中に小さなキスを落とすと、擽ったそうに匠海は笑っていた。

「ヴィヴィ、お腹、いっぱい……。幸せ……」

 そう呟いて真っ直ぐに兄の瞳を覗き込めば、何故か匠海は眩しそうに瞳を細めた。

「食いしん坊なヴィクトリアのここ、もう俺の はむはむ してるぞ?」

「言っちゃ、だめ……」

 ヴィヴィは匠海の形のいい唇を、自分の小さなそれで塞ぐ。

 何度も角度を変えて兄の唇の味を味わっていると、匠海の掌がヴィヴィの躰をまさぐり始めた。

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