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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第72章             

 最初に感じたのは暖かさ。

 まるでヴィヴィが本当にそこにいるのか確かめるように、執拗にその輪郭を掌全体で確認してくる匠海からは、心地よい体温が伝わってくる。

「お兄、ちゃん……」

 唇を微かに離してそう囁けば、匠海が「ん?」と聞き返してくる。

 まるで甘えたようなその声音に、ヴィヴィは苦笑する。

(どうしよう……可愛いなあ……)

 そう思った途端、ヴィヴィの膣がきゅうんと疼いた。

「あんっ ……っ ふぅ……っ」

 甘い声を上げたヴィヴィが、次に感じたのは、先程までと同じように自分を撫でてくる匠海の息が、上がってきている事。

 もう一度、自分の掌の中の、兄の表情を確かめる。

 灰色の瞳は欲望で潤み、切なそうな表情からは、早く互いの粘膜を擦り合せたいという意思が、ダダ漏れだった。

 ここまで兄に余裕がないのは珍しい。

 見た目には全然分からないが、本当にお酒に酔っているのかもしれない。

「ほら、どうして欲しい?」

 そうヴィヴィに委ねてくる匠海の方が、堪えるのに必死に見える。

「言って、いいの……?」

 ヴィヴィはそう勿体ぶってみる。

 そして意識して、中の匠海を締め上げてみた。

 自分を撫で回す匠海の掌が、びくりと震えたのが分かり、ヴィヴィは内心ほくそ笑む。

「もちろんだよ」

 匠海は普通の声で、そう返してくる。

「……恥ずかしい……」

 小さく身を捩りながら、ヴィヴィはもう一度昂ぶりを締め付ける。

「……っ ヴィクトリアの、このぷるぷるの唇で、言ってごらん?」

 匠海はヴィヴィの唇に自分のそれをかすめながら、そう先を促す。

 その息がとても熱くて、今度は勝手に膣壁が大きくひくついた。

「んっ ヴィヴィの事、嫌いにならない?」

「なるわけない」

 匠海は自分の頬に添えられた左手を優しく掴むと、その掌の中に唇を押し付けてくる。

「だって……」

 そう言って渋るヴィヴィの指先に、匠海が口付けながら、相槌を打つ。

「ん?」

 上目使いに見上げてくる匠海が妙に艶めかしくて、ヴィヴィの鼓動がとくりと跳ねた。

(あ……ヴィヴィの中、勝手に動いちゃうっ)

「あの、ね……?」

「なんだい?」

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