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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第72章             

「んっ んふっ んん……つ はうん、んっ」

 その姿はまるで、親鳥に餌を強請る雛鳥の様だった。

 兄に深い口付けを強請る様に舌を差し込むと、自分から匠海の舌に絡ませ、味わうように互いを擦り付ける。

 口付けをしながら突き上げられると、息が切れ始め、互いに苦しそうに唇が離れてしまう。

 しかしヴィヴィの蕩けた瞳は、うっとりと兄を見つめると、また唇を重ね合わせた。

(もっと……、もっと、ヴィヴィに、ちょうだい……?)

 自慰なんかとは比べ物にならない、与えられる気持ち良さがそこにはあった。

 両足を大きく開脚させられ、その躰の中心は兄に深くまで貫かれている様は、一見とても不安定に見える。

 けれど、それはとんでもない愉悦を生み出してくれるのに、相反して安心も与えてくれる。
 
 確かに自分ですると、いいところばかりを弄って、すぐに達する事が出来るけれど、兄の味や香り、体温を感じながら、物足りなさと気持ち良さと切なさの間を、行ったり来たりと揺蕩うのは、何にも代えが効かない程の喜びを与えてくれた。

「お兄ちゃん、すきぃ……っ あん、これ、大好きっ」

 自分の腰を掴まれて上下させられ、兄の昂ぶりを受け入れさせられる。

 この格好で抱かれると、両手足が自由で匠海に縋り付けるし、その表情も確認することが出来て、ヴィヴィは素直にそう口にした。

「ああ、セックスが好きって?」

 匠海のそんな意地悪な追及にも、ヴィヴィはこくりと頷いて、その顔を覗き込んだ。

 兄の顔に浮かぶのは、明らかにこの性行為に興奮し、満足した表情だ。

 きっと自分も今、同じ顔をしている筈。

「うんっ ヴィヴィ、お兄ちゃんと、えっちな事するの……っ、好きぃっ」

 そう素直に認めたヴィヴィに、匠海は良く出来ましたというように、キスをくれた。

「これはね、対面座位って、言うんだよっ」

「対面座位っ? ヴィヴィ、一番好きっ お兄ちゃんと、一緒になるの、好きっ」

 見つめあう瞳も、甘い吐息を漏らす唇も、互いの胸も、腹も、もちろんどこよりも深く重なり合った腰も触れ合え、一番近くで感じられる。

 それがこの上なく気持ち良くて、安心する。

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