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エブリデイ
第4章 欲しいの……
ベッドに入ったのは、もう日付が変わった頃。そうして暫くして、私が微睡に誘われそうになる寸前のことだ。
彼のその囁きが、薄らいだ意識の中で聴こえる。
「もう――寝たの?」
「ううん……まだ」
「そ――」
吐息に交えたような音が、私の耳を擽った。
同時に自然と絡められた手足が、彼の意図を私へ報せる。
「ん……」
私を求めて――ゆっくりと身体を撫ぜゆく彼の手。
それに応じて――身体の芯は、確かに密やかな火照りを感じ始めていた。
なのに――私は加速する本能に、急停止をかける。
「私……明日も、早いから……」
「そっか……ごめん。疲れてるのにね」
「……」
そうじゃない……貴方が謝る必要なんて、何もないのに……。
背を向けた彼に悪くて、思わずじわっと涙が滲む。拒んだ理由を、私は口にすることができなかった。その想いは、まだ私の中でも噛み砕けてはいない。
私が夫の求めに応じなくなってから、もう一月以上になる。もちろん、彼のことが嫌になった訳ではない。出会った当初から変わらずに、私は今も彼にことが好きだった。
やっぱり、私――あのことを気にしてるのかしら?
それは――セックスを小作りの行為として、意識し始めた瞬間。
考えまいと目を瞑った脳裏に、その時の光景が容赦なく思い起こされていた。