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エブリデイ
第4章 欲しいの……

 そうして一階にある売店で買い物を済ませ、病室に戻ろうとした私は――


「――!?」


 お義父さんの病室のあるフロアの休憩所の外で、夫とその兄、兄弟の会話を耳にすると、ふと足を止めた。


 義兄(あに)は、やや低い声で夫に言う。


「確かに今回は大したことはなさそうだが……。お前も、そろそろ親父たちを安心させてやったらどうなんだ」


「兄さん――安心させるって、それ、どういう意味?」


 夫はいつも通り、にこやかに笑っているから。義兄の方は、逆にやや苛立ってしまったのかもしれない。今度は幾分突き放すかのように、はっきりとした口調で告げた。


「単刀直入に言えば――つまり、早く孫の顔を見せてやれってことだよ」


「フフフ――急に、どうしたのさ。孫ならもう、愛ちゃんと廉くんがいるじゃないか」


「俺が言ってるのは、そういうことじゃねえ。親父もお袋も、お前んとこに子供ができるの楽しみに待ってるんだよ」


「えっ――父さんたち、そんなこと言ってたっけ?」


「バカ野郎。それくらい口に出さなくても、わかれよ」


 夫とは異なりお堅い仕事をしてる義兄は、のんびりとした弟を口煩く叱りつけるかのように……。

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