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エブリデイ
第4章 欲しいの……
そう言われた夫は少し宙を見つめて考えた後、また柔らかな笑みを浮かべている。
「兄さん。子供って、二人で作るものだよね」
「当たり前だ」
「じゃあ、たぶん今は、その時じゃないと思うよ」
「律子さんの方に、その気がないってことか?」
「さあ――それは話してみないと、何ともわからないなあ」
さらりと言った弟を見やり、兄の方は呆れたように頭を抱えた。しかしすぐに冷静さを取り戻すと、夫を諭すように切々と語る。
「いいか……親父たちだって、いつまでも元気でいるわけじゃないんだぞ。今回の件で、それはわかったはずだ。只でさえお前はふらふらしてた分、親父たちに心余計な配をかけてるんだ。そろそろ親孝行を、考える時じゃないのか?」
「うん……それは、そうかもね」
夫は呟くように言うと、珍しく神妙な顔をしていた。