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エブリデイ
第4章 欲しいの……
窓より斜陽の差し込む病室は、一転静かな空気が流れていた。ベッドより身体を起こしたまま、お義父さんは一人、初秋の景色を眺めている。
「あの……お義母さんは?」
期せずして二人だけとなったことに戸惑うと、私はお義父さんに訊ねた。
「ああ、ちょっと看護師さんのところに行ってるみたいだが……」
「そう、ですか……」
お義父さんと二人きりで話した覚えがない私は、気まずさを隠せずに立ち尽くす。
すると――
「律子さんも……今日はわざわざ、悪かったなあ。仕事だって忙しかろうに」
「い、いいえ……私の方こそ、すっかりご無沙汰してしまい。申し訳ありません」
穏やかに佇む姿を前にして恐縮しきりの私に、お義父さんはまたこんな風に言うのだった。