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エブリデイ
第4章 欲しいの……
「いやいや、何も気にすることはない。人生には人それぞれのペースというものがあろう。眞也と仲良くやってくれていれば、他に何を望むこともあるまいよ」
「お義父さん……」
「ハハハ。改まって言うのも変だが――どうか、よろしくな」
それは、とても印象的な笑顔であった。
夕陽に照らされたお義父さんの表情は、年輪を経た優しさに満ちていた――そう感じるに、相違ないものであっただろう。だけど、この時――私はその顔から逃れるように、視線を床へと落としていた。
その優しい言葉を素直に受け取ることが、私はできずに……。言葉の裏側にあるを気持ちを察すると、何故だろうか――この胸を痛めたていた。
夫と義兄との会話。それを耳にし、自分の中に生じつつある想い。たぶんそれらに、この視界を遮られていたのだろう。