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エブリデイ
第4章 欲しいの……
「あ、いやぁ……」
彼は目を逸らして頭を掻きながら、言う。まるでヒステリックな私を宥めるように……。
「僕が言ったのは、何もそういう意味じゃないんだけどな。律子さん、やっぱり最近、疲れてるみたいだね」
しかし私は、胸の中のささくれた想いを、押さえることができなかった。
「そうやって、私の顔色ばかりみるのね。眞也さんも、お義父さんだって――そう。人の気持ちばかり気にしないで、はっきりと言ってくれればいいじゃない!」
そうやって、自分でも思わぬことを口にし、ようやく私はハッと我に返ってゆく。
「父さんが……どうかしたの?」
「い、いいえ……ごめんなさい。私、つい……なんでもないの」
どうして、お義父さんのことを口にしたのか、自分でもよくわからなかった。
だけど――
「律子さん」
「……?」
「なにも、焦る必要なんてないんじゃないかな。だけど今日話してくれたことは、とても大事なことだね。だから、またゆっくりと話そう。僕たち、夫婦なんだからさ」
「……」
そう言って微笑んだ彼の顔を、今の私は素直には見ることができないでいる。