この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エブリデイ
第4章 欲しいの……

    ※    ※



 私が最後にお義父さんを見たのは、急いで駆けつけていた病室。そこに入る前には、既にお義母さんから、その容態を聞かされていた。


「なんだ……皆、来てくれたのか……幾度も、悪かったなぁ」


 以前と同じ病室には、しかし――以前と違う、やつれた顔が私たちを迎えている。

 私と夫、兄夫婦と二人の子供たち。どの顔にも静かにそして確実に、悲壮な想いが伝達するかの如く。まだ幼い二人の孫たちも同じく、彼らなりに何かを感じ取っていたのだろう。


 だのに――乱れ行く呼吸に耐えながら、お義父さんは言ったのだ。



「俺のことはいいから……皆で何か……美味しいものでも、食べてくるといい……」



 その、刹那――


 ――あ!?



 皆を見渡したお義父さんは、やはり微笑みを向けた。弱々しくも優しく、にこりとして実に心地の良い穏やかな笑顔だった。


「……」


 それを見た私は、たぶん何かに、気がつこうとしている。でも、私がそれを明確な想いとして噛み砕く為には、もう一つの場面を待たなければならなかった。




 そうして――その日の遅く。お義父さんは、眠るようにして息を引き取っている。

/254ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ