この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
エブリデイ
第4章 欲しいの……
告別式が終わり。訪れていた参列者の方々が引き上げてゆくと、会場には近親の者たちだけが残されていった。
やや呆然としている夫を、その傍らで私は気遣って言う。
「眞也さん……大丈夫?」
「あ、うん……なんかね、まだ実感が湧いてこないみたいなんだ」
「そうよ、ね……」
遺影を仰ぎ見た彼の肩に、私はそっと手を携えた。それ以上の言葉は、見つけられずに……。
そんな彼の元に駆け寄っていたのは、まだ幼い彼らであった。
「おじちゃん。わたし、わからなくて、おしえてほしいことがあるの」
「ぼくにも、おしえてー」
仲の良い姪っ子と甥っ子は、彼の顔を見上げそんな風に言う。
「愛ちゃん、廉くん――一体、何を教えてほしいのかな?」
彼がそう訊くと、言葉もなく顔を見合わせた二人。そうしてから今度は、代表するようにしてお姉ちゃんが、こんな風に訊くのだった。
「じーちゃんが死んじゃったら。愛たち、こんどはいつ、じーちゃんに会えるの?」