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エブリデイ
第4章 欲しいの……
姪っ子と甥っ子は、更にこう続けている。
「パパとママは、もう会えないって言うの。でもね。わたし、それだといやだっなって思ったんだよ」
「ぼくも」
「……!」
胸を締めつけられる想いがして、傍らの私はその様子を窺うしかなかった。彼は暫くの間、黙って子供たちの純真な瞳を見つめている。
この無邪気さに対して、どうやって応えるのか。それだけを、私もじっと見守っていた。
すると、彼は――
「愛ちゃんと廉くんは、じーちゃんの、どんなところが好きなの?」
「いつも、お菓子をくれるの。それとね、にこにこしてるんだよ」
「れんはね。いっぱい、遊んでもらったー」
「そっか……」
二人の言葉を噛みしめるようにした時、彼の前髪に隠れた瞳からすっと一筋の涙がその頬を伝う。でも、悟られないようにそれを拭うと、彼は二人の前に跪いた。
「今は少しだけ、寂しいけどね。じーちゃんのお話、またおじちゃんたちに聞かせてくれる?」
「うん。いいよ」
「学校に行くようになって、沢山お友達ができたら、皆にもお話してあげようよ。そんな風にこれからも、二人がお話をしてくれたら、きっと――」
彼は二人を促すように肩を寄せると、お義父さんの遺影を見上げ、こう続ける。
「じーちゃん、何処にいたとしても。喜んでくれると思うんだ」