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エブリデイ
第4章 欲しいの……
※ ※
それは、お義父さんの初七日も終わってから少し経った頃。
彼は私の前では落ち込んだ様子は見せなかったけれど、やはり少し元気がなかったように思う。それは、無理もないことだった。
そんなある日の夜。私は珍しく「お酒でも、飲もうよ」と彼を誘っている。普段から、あまりお酒を飲まない彼は、一杯の薄い水割りのグラスを傾けると、早くもその顔色を変えた。
それを、愛しげに見つめ――
「フフ、顔が――真っ赤よ」
私はくすっと笑いながら、ソファーに座る彼の肩にしな垂れかかってゆく。ほんのりと酔ったせいもあり、私はとても気分がよかった。
すると――
「律子さん……今日はいつもと、違わない?」
急に甘えた私の態度を、よほど意外に感じたのか。彼は寄り添った私の顔を、まじまじと見つめて言う。
だけど――
「別に、どこも。違ってなんかないわ」
私はそう笑うと、更に強く彼の胸へと顔を押しつけているのだった。