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エブリデイ
第4章 欲しいの……
田舎では、もう。色づいた紅葉が、野山を鮮烈に染め上げている。
「…………」
私は彼と並び、両端にお花を供えられているお墓に向かって、じっと手を合わせていた。
この日は、お義父さんの三回忌となる。
何と語りかけようか、と。此処に切る前には、少し頭を悩ませてもいたのだろう。
後ろめたい気持ちは、私の独り善がりに過ぎないのだと思うに至る。
だから――私は、私なりに。
これからも、眞也さんと一緒に。そして、これからは――。
目を開けると、隣で眞也さんが私を見つめた。
柔らかな、その笑顔で。そんな、時だ。
あああんっ!
静かなその山間に、その泣き声が響き渡ってゆく。