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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
「そんな言い方じゃダメ。もっと、ちゃんと言いなさいよ」
「そんなこと――もう言わなくたって……僕のこと構う義理なんて、木織の方にはないでしょ……」
「私のことばかり言わないで」
「だ、だって……じゃあ、僕は……?」
「だったら――次からは、お金なんていらない。そう言えば、いいの?」
「そ、そんなこと……だったら、どうして木織は……?」
「だから――私のことは、どうでもいいの。貴方は、どうする? どうしたいのか、答えて!」
「だって、そんなの……ホントは、木織がこんなことする必要なんて……」
「私が訊いてるのは――貴方の気持ち!」
「ぼ、僕は……」
どうしたい? どうなりたい?
「……」
木織の冷めた視線に晒されて、僕は――結果。
「ご、ごめん」
「――!」
立ちはだかる木織を強引に押しのけ。部屋を飛び出した僕は、ほど近い向いの家の中に飛び込んで行った。