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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
――パタン!
はあ……はあ……。
ほんの十数メートルの間に、幾つかの扉を潜り抜けて――ようやく。僕は何時もの自分の部屋へと、逃げ込んでいた。
この部屋に閉じ籠っている時だけが、心の安住。だけどそう感じている内は、他の一切にそれを求めることはできないのだ。
「……」
僕だって、それには気がついている。でも、どうにもできない。わかってるのに変えられない――変わりようもない自分自身は、ジレンマの塊だった。
高校を卒業してから自分の意志で選んだつもりだった専門学校。それなのに何時しか挫けて、行かなくなってから、その後。何となく続けていたコンビニのバイトすら、半年前には辞めている。
僕はやがて、まるでそれが自然の摂理であるかのように、部屋に閉じこもっていたんだ。
そんな僕にも、ニートや引きこもりなんていう呼び名はあって、それだからその名前の境遇に今日も甘えてしまうのだ。
ホントは――何者でも、ない――クセして……。