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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
「……」
じっとパソコンの画面を見つめる。マウスを操作して、無限のネット世界を徘徊する。
部屋の中にいる僕は、起きているほとんどの時間を、そうして過ごしていた。
「…………」
他に――すべきことは山の様にあるように思う。
でも――千里の道の一歩目を踏み出して、その道のりの長さに途方に暮れることは怖かった。
とりあえず最初の宿場までで、良いじゃないか――と、誰かが言うのが聴こえる。
だけど――引きこもって部屋で過ごす時間が膨大になる程に、僕の身体はがんじがらめにされた――否、自分で自分の羽をむしっているのかもしれない。
「フフ……」
急に可笑しくなって、こっそり笑った。
僕に羽なんて、最初からついてないのに――さ。
いつもの様に自虐的な僕は、高校生の時のある場面を思い浮べていた。