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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく

 幼なじみのホントのところって、誰しも思い当る節があるのではないか――。

 つまり――それは漫画やアニメの場合とは違って、何というか――とにかくリアルな方なのであった。少なくとも僕と木織のケースは、それに違いない。

 仲良く遊んだ思い出は、幼少の頃までで終わっている。そうして小学校に入学したばかりと、それが高学年になる頃とではまるっきり事情は変わっており。果ては中学生ともなれば、言葉を交わすことにすらぎこちなさを覚える始末だ。

 その様に疎遠となってしまえば、幼なじみと言うよりも単なるご近所の顔見知りと表した方が早く思え。親同士が仲が良かったりするから、その分余計に不思議なほど反発するような二人の関係であったように、振り返ってみればその様だった。

 そして現在、互いに異なる制服を身に着ける僕と木織は、最早『赤の他人』に限りなく近く。たまにこうして家の前で顔を合わせても、挨拶を口にすることすらなくなっていた。


 それだからこそ、この瞬間の木織の不思議――。


「……」


 まだ何も言わないけど、その切れ長の瞳が僕を刺すように見つめ続けている。


「な……なんだよ?」


 そのピリッとした感覚に耐え兼ね、ようやく僕の口がその言葉を発していた――。

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