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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
※ ※
少しだけ昔のことを思い出したまま、眠れずに夜をやり過ごした後――すなわち、朝。
心地よい睡眠を忘れて久しく。その様にそれを迎えた僕に、朝は爽やかな何かをもたらすこともなくって……。
「……!」
締め切ったカーテンの隙間から僕は、家を察そうと出て行く木織の姿を――そっと見つめているのだった。
「ううっ……」
酷く、罪悪感と嫌悪感が混ざり――それらが、どろどろに募ってゆく。何も食べていない筈なのに、気持ち悪くて何かを戻しそうな気がした。
木織は今、市の医療センター付属の看護学校で学ぶ。明確な目標を抱き、その想いに殉じようとしていた。
その姿――横顔を、僕は眩しく感じてしまうから。それだから一層に昨夜の――木織にさせたあの行為の光景が、僕を責め続けて止まなかった。
だから、嫌なのに……。
汚すこと――木織を僕で汚すことが、死ぬほど嫌だった。
それなのに、やはり僕は怖くて――結局はまた、木織の優しさに逃げ込もうとするのだろう。
一夜明けて、きっとそれは――間違いないのだろうと、そう思っていた。