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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
当時まだ子供だった僕にしてみれば、それは忽然のことだ。新しい家族――と言う家、その枠中に詰め込まれたような四人は、一体どのような形を成そうとしていたというのだろう。
否――おそらく、そんなものは皆無。何一つ、意義なんかなかった。少なくとも、僕と彼女の間には、家族を思わせるものなんて――只の一つ、だって……。
「なんなの?」
金髪の髪とまつ毛が尖った禍々しい瞳。キッとして僕を威嚇した彼女は、そんな様にそのままに、まるで優しくなんかないくせして――その瞬間から、僕の四つ年上の義姉(あね)となってしまったのだ。
「……」
僕はその時に覚えた不安を、いつまでも拭い去ることができなくて。そんな僕が悪かったのだとするなら、いくらでも謝りたいと今でも考えることになる。
そんなことで、アレをなかったことにできるならば――僕は何度だって誰にだって許しを乞うことを迷ったりはしない。
そのことを決定的に思い知った、あの時から――。