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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
「ごめん――ちょっと、散らかってるけど」
「え、いや……全然、片付いてるし」
同じ年頃の女の子――その一人暮らしの部屋に入った時、僕の中にある種の不思議な感覚が生じていた。何がどう、ということではない。それは一見普通のアパートの部屋であるのに、何故か別世界のような気がしたのだ。
その中の空気に漂う香りだとか、自分ではまず選ばないカーテンの色や柄、そんなもの一つ一つから居心地の悪さを覚え初めてさえいるのに、それでいて否応なく心が浮き立つような自分に――焦っている。
僕は男だから、それは至って普通の――普通でありたいと、僕は常に思っていた。
そんな僕は今、誘われるがままに女の子の部屋へ。ついさっきまで只のバイト仲間であった筈の彼女は、僕のことを頻りに見つめて話す。
互いにそれなりに持ち合わせたお座なりの好意がむずむずとしてる。話しの内容なんて、あってないようなもの。そんな僕らが必要としていたのは、些細な切っ掛け、或いは弾みだったのだろう。
だから――
「フフフ、ね、可笑しいでしょ? それでね――――あっ!」
「だ、大丈夫……? 服が濡れて……」
「うん――平気。でも――脱がなきゃ、ね」
「……!」
零した飲み物で濡らした胸元――彼女は身に着けていたTシャツを、徐に脱ぎだしてゆくのだ。