この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
「私……冗談じゃない……そう、思った」
「こ……おり?」
それは強い言葉に聴こえた。木織の意志を感じた。
だけど、何故――木織は?
僕はそれを訪ねようとしたけど、その前に木織の言葉が続いた。
「『いずれ話をつけに行くから』――私は次いで――『その時は彼も一緒に』――そう言ってしまった」
「そ……それじゃあ?」
「違うの」
木織は、首を横に。
「あの人を早く返したい、その一心だった。貴方に会わせてはいけないって、そう思っていたから……」
そう言い終ってから、僕の顔をじっと見つめ。
「これは私の独り善がりなの。だから――一緒に来てくれなくても、いいんだよ」
視線を合わせ瞬いた瞳が、揺らいでいた。