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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
「……!」
少しだけ心にゆとりを覚えて、僕はふと周囲を見渡す。
駅から南西に入った通りには、ブティックやセレクトショップが軒を連ねている。狭い幅の道路が、思い思いに行き交う若者たちで溢れ始めていた。その多くはカップルであるようで……。
「ん?」
「ううん……なんでも」
不意に視線を合わせて、僕は言葉を濁した。
周りのカップルと、もしかしたら自分たちだって変わらないような気がしていて。それは錯覚ではあると、僕だってわかっていたけれど――それでも、そうなっていた可能性は、きっとあった筈だ。
そう考えた時に――
「あのさ……」
「なに?」
「今日は……」
「今日――は?」