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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
電車で来る途中には、まるで思い出したような――怒り。
これまで散々、うなされた悪夢の中で味わい続けている――恐怖と嫌悪。
それでも日常を生き続けていられた――無関心。
その全てを一気に突き抜けかねない――ぶすぶすとくすぶっているような、狂気、だったり。
この僕の中で、なにがどのようになるのか、まるで想像なんて――できない。
だから――エレベーターで揺られ、六階のフロアに降り立ち、青い鉄のドアを前にして、インターホンを押し、待って、また押して――待つ。
それを繰り返した後、ついにガチャンと開いた向こうから――
「――っせーな」
と、そんな気怠そうな声を耳にしている、この瞬間でさえも。
「……」
僕は自分がどう感じているのか、それが――わからないのだ。