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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
「アンタらも、飲む?」
と、訊かれて。
「ま……まだ未成年だし……」
と、思わず首を振った。
「ハハ、真面目かよ。今、いくつなの?」
「じゅ……十九」
そう答えた拍子、目がギラリと光ったような気がした。髪の毛は相変わらずの金髪だけど、生え際の部分は黒々としてる。前よりも尖ったように鼻が高く。前よりも大人の顔つきをしているのは当然だけど、確か四つ上なのにもっと年上にも見えた。
その大人の女の人が、僕を気に入らないとばかりに睨んで言う。
「もう、そっちだって――大人だろ?」
「……!」
「だったら今更、なんなのって感じ」
「な、なにがっ……?」
僅か挑発を受けたと感じ、興奮を覚えた僕を、咄嗟に木織がかばう。
僕と相手との間に入ると、木織は言った。
「最初に訊ねて来たのは、貴女の方でしょう?」
「だからぁ――懐かしくて、たまたま足が向いたわけ。別に、それだけのこと」
「よく来れましたね。あまりにも迂闊すぎると思います」
「は? なんでぇ?」
「そんなの、自分でっ、なにをしたのか――」
木織は語気を強め――しかし、そこでハッとしたように言葉を止める。
すると――
「ああ、私がソイツとどうなったのか――。それは、アンタにもちゃんとわかっちゃってるわけだ……」
「……」
「で――そんな私のことが、許せない――って?」
女は、にやっとほくそ笑むと――木織のことを、まるで品定めでもするように眺めていた。