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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく
「くっ……」
僕はまだ起き上がれずに、油断すれば胃の中の物がたちまち逆流しそうで、この上なく不快。頭の中では頭痛を増すように不協和音が鳴り響き、その視界も未だ――前後も左右も、上や下ですら、見誤りそうになってしまう――けれど。
だからこそ、そんな世界の中で、只一つだけ。木織の背中を、見失ってはならない。それを今の僕の原点として、立ち上がらなければならないのだと思った。
一つでも確かな想いがあれば、どんなに世界が険しくても、僕だって立ち向かえる気がしている。否――今度こそ絶対に、立ち向かわなければならなかった。
もう二度と――
『私――貴方のこと、大っ嫌い』
あんなことを言われたくない――言わせてはいけないのだと、思うから。
「くそっ……」
僕は先ず――その場所から、始める。