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エブリデイ
第3章 意識した瞬間から
寺井夏美は、少し変わっていた。それはオタ趣味であるということを差し引いても、その点ではかなり顕著であるように思う。
僕が所属するサークルには他にも何人か女子はいたが、寺井はその中にあって最初から孤立していた。そしてBL好きな他の女子と趣味が合わないとの理由で、いつの間にか僕らと行動を共にするようになっている。
それからは露骨に女子の間で仲間外れにされているようだが、そんなことはまるで気にしてはいないようだった。寺井はとても、サバサバとした性格をしている。
たまり場になっていたから、寺井だってもう何回も僕の部屋には来ていた。山岡や加藤と四人で、よくゲームなんかをしていた。
そんな感じでつるんでいたから、寺井夏美はすっかり女である以前に仲間という認識だった。
だから今更、何なんだって思う。
部屋に二人きり、だからって――それが、何だっていうのだろう?
だけど、やはり変みたいで……。
「顔――紅いよ?」
そう言って、寺井が小首を傾げている。
眼鏡の奥の寺井の眼差しを受けると、僕は胸がドキドキした。