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エブリデイ
第3章 意識した瞬間から
 机に押しつけられ曲がった眼鏡を、起こさないように静かに外す。

 あまり見たことのない素顔。一度も見たことがない寝顔。

 改めて見つめた寺井夏美は、とても可愛い顔をしていた――と、思い。


「気のせい……でしょ?」


 反するように、呟く。

 メイクなんてしてない、少年のような顔。半開きの口元には、ヨダレが滴る。

 だけど、肌はなんかきめ細やかで。目鼻も輪郭も、言い様のない柔らかな丸みを帯びていた。


 当たり前だけど――やはり――女の子、だ。


「……」


 僕は震える指先を、その頬へと伸ばす。


「――ん」


 ピクッとした反応が、僕をドキリとさせ。たじろいだ指先は、頬にかかる前髪を撫ぜながら、おそるおそると耳の上へと流した。


 サラリと滑らかな髪の質感が、また僕に彼女の何かを実感させて、る。
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