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エブリデイ
第3章 意識した瞬間から
倒れ込んだ僕の身体の上に圧し掛かる『誰か』の顔を、頭から覆った毛布が光りを遮断して、僕に見せようとはしない。
それでも、近く。その息遣いは、艶めかしく。
『誰か』なんて、そんなの一人しかいないのに。そうして重なった二つの身体が、僕と寺井夏美である現実を、頭の中で納得することができなかった。
それ程までに、今の状況は想定外――奇想天外とすら、感じられる。
「な、なに? ――寝惚けて、る、のっ?」
言葉を詰まらせ、取り乱す僕は訊ねた。
すると、闇の中で――寺井の声が答える。
「あんまり、じれったいから。ホントに寝そうだった」
「え? じゃあ……」
「たまには、肉を喰いたまえよ――草食系クン」
そう言ってクスッと笑ったのが、わかった。
けど――彼女の気持ちは、やはり謎めきすぎている。