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エブリデイ
第3章 意識した瞬間から
「うっ……くっ」
思いの外、強く押し付けられた唇は、僕の口を完全に密封。鼻息がかかることを自然と恐れ、酸素を排気することも叶わない。
すなわち、初めてのキスは――壮絶なる無呼吸状態の戦いとなった。
どちらからともなく、それに耐えかねた挙句――。
「――ぷはっ!」
頭から被っていた毛布を払いのけて、僕と寺井は身体を起こす。
「はあ……はあ……。ううっ……死ぬかと思った」
呼吸を整えながら、寺井はそう冗談めかして微笑む。
「うん……そうだね」
その顔を見て、僕も自然と笑った。
けれども、それは束の間の緩和。
「ごめんね。私、初めてだから。キスのしかた、よくわからなくってさ」
「そんなの……いいけど」
部屋の灯りの中で、改めて顔を合わせた、ある種の気まずさが生じてる。
寺井が口にした『キス』という単語が、その事後であることを言語感覚に伝えた。
そして――
「じゃあ――続けよっか」
「――!?」
じりっとにじり寄り、寺井は言う。