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エブリデイ
第3章 意識した瞬間から

「……」


 寺井が厳しい目で、見守っている――最中。

 その雰囲気に流されるように、僕は部屋着のズボンを脱ぎ去る。


 なに、この感じ……?


 これから、僕らは(たぶん)セックスに至ろうとしていて。それを望むのならば、いずれ裸にはなるのだからと、それは理解しているつもりだけど……。

 寺井の指示にバカみたいに素直に従いながら、それでもパンツ一枚になった時には、急激に言い様のない心細さが僕を襲っていた。


「あの、さ。電気――消そっか」


「どうして?」


 半ば怒ったように、寺井は疑問を口にする。床にペタッと腰を下ろして僕を見上げる、彼女の上半身はもう完全に無防備だった。


「そ、それは……」


 その胸をまたチラリと見て、僕は腰を引くような体勢で何となく両手で前を隠す。そうしなければいられないくらいに、僕の血液はソコに集中しつつあった。

 寺井が一心に見つめるこの状況下にあって、今まで十九年間ひた隠しにしてきた男の部分を晒すなんて。

 しかも今は、反応してる分、余計に恥ずかしいように思う……。

 しかし、そんな僕の気持ちなど関係なく、その対応は飽くまでも厳しかった。


「自分は、あんなにじっくり――今だってチラ見してるくせに、さ。ズルいと思わないの?」


 寺井は部屋を暗くすることを、潔しとせずに。

 すなわち、どうあっても――僕の全てを見ようとしていた。

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