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桜舞うあの日のままで
第9章 最後の夜、想い出の夜
「綺麗だよな、ホントに……。この風景、今までは当たり前のように見てたんだけど……何事も『当たり前』だと思うべきではないな……」

 そう言う悠の表情は、本当に寂しそうに風香には映った。

 風香が桜と悠を交互に見ながら言う。

「また来年も、ここで一緒に見たいな……」

「約束だぞ。絶対、またここで一緒にあの桜を見よう!」

 一つ約束が交わせて、心が軽くなる風香。

 もはや完全に、風香の「告白しないと」という決意は折れてしまっていた。




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