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桜舞うあの日のままで
第9章 最後の夜、想い出の夜
 内心、「私には告白することができないかもしれない」と風香は気づき始めている。

 悠が風香を恋愛対象として見ることが可能なのかどうかすら、風香には分からないわけだから、「もしダメなら気まずくなってしまう。それなら今のままの方がいい」と思ってしまうのだ。

「メールすらしてもらえない関係になるのが怖い」と考えると、背筋が凍りつく風香。

 こうして、来年もここで一緒に桜を見る約束まで取り付けることができた今、風香は告白という冒険に挑む勇気が全くなくなってしまっていた。

 もちろん、心の片隅では強く「悠の恋人になりたい」と願っていたのは確かだが。



 二人はそのまましばらく、かすかな灯りに照らされた美しい夜桜に見とれていた。




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