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桜舞うあの日のままで
第10章 旅立ちの朝、舞い散る桜
そこへ再び流れるアナウンスと共に、電車の到着を告げる警報音が鳴った。
小さく、「来たか」と呟く悠。
風香の目じりには、涙の玉が浮かんできた。
慌てて拭う風香だったが、悠にバレてしまう。
「またすぐ連絡するし、夏休み前でも、ゴールデンウィークにはひょっとしたら戻ってくるかもしれないし、そんなに悲しまないでくれって。でも……ありがとな」
風香の肩に優しく触れながら言う悠。
その背後を、電車が高速で入ってきていた。