この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
桜舞うあの日のままで
第10章 旅立ちの朝、舞い散る桜
悠がゆっくりと手を離して言う。
「じゃあ……またな。風香も元気でいろよ」
「絶対、連絡してね」
涙声で言う風香に、「うん、もちろん」と答えてから、悠は電車の方を振り向く。
すでに電車は停車位置に止まっていた。
スッと開くドアから、大勢の人が降りてくる。
そして、降りる人がいなくなってから、悠がゆっくりと一歩踏み出した。
ちょうどそのとき、悠と風香の間を風が拭きぬけ、またしても桜の花びらを運んでくる。
桜の花びらが舞う中、遠ざかっていく悠の広い背中を、風香は胸が張り裂けんばかりの想いで見つめていた。
「じゃあ……またな。風香も元気でいろよ」
「絶対、連絡してね」
涙声で言う風香に、「うん、もちろん」と答えてから、悠は電車の方を振り向く。
すでに電車は停車位置に止まっていた。
スッと開くドアから、大勢の人が降りてくる。
そして、降りる人がいなくなってから、悠がゆっくりと一歩踏み出した。
ちょうどそのとき、悠と風香の間を風が拭きぬけ、またしても桜の花びらを運んでくる。
桜の花びらが舞う中、遠ざかっていく悠の広い背中を、風香は胸が張り裂けんばかりの想いで見つめていた。