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桜色、恋色、ーこいごころー、
第1章 花びら、一枚
ひらり…ひらり…。
桜の花びらが、私達の前にいくつも重なって落ちていく。
私の目の前には、小学校5年生くらいの顔立ちの良い男の子。
(あれ……?私‥小さくなってる)
「ねぇ、…さくら」
小さな男の子は私の手をギュッと握り、今にも泣きそうな顔をしていた。
(私の名前……)
「ボクの事…忘れないでね!」
(何だろ…すごく懐かしいこの気持ち)
「ずっとずっと、友達だよ!!」
これは…夢?、そう……これは確か、小学生の頃の…。
私は確か…この子の事が好きだった。
だから、…離れてしまうなら、と、初めて好きになったこの恋心を、胸の奥にしまった。
筈なのに…どうして今更…?
名前さえ思い出せない、思い出せない…。
「さくら!!…絶対、迎えに行くから…」
フワリ、微笑んだ男の子。
『待って!!……』
(名前!!……名前…彼の名前……)
光が、彼を覆う。
彼の姿が消えてしまう。
「だから約束してね。絶対待ってるって」
私は走る。
手を伸ばせば届きそうなのに届かない。
光が…彼を包み込む。
(やだやだ……行かないで!!)
*************
『駆!!……はぁ、はぁ‥夢?』
飛び起きると、バサッと掛け布団が落ちた。
(…私の、部屋………布団?)
私は不思議に思い、辺りを見回した。
ベッドの端に微かな重みを感じてそこに視線をやれば、知らない男の人が寝ていた……いや、こいつは…。
(何で……ここにいるの!?)
先程の出来事に、顔から火が出そうなくらい火照る頬。
「やっと、思い出してくれたんだ…」
ムクッと起きて、衝撃の一言…。
…‥思い出して、くれた…?
『駆は駆るだと思いますが、…どの駆君ですか?もしくは駆さん?』
「はぁ?…‥俺は俺だよ!」
『オレオレ詐欺は生憎まにあっています』
『って、言うか出て行けこの変態!!』
「俺の事、忘れたの…?」
『私の幼馴染みに、変態な駆さんはいません』
「それは……悪かった…。つい、さくらだとわかったら…止まらなかった…」