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恋人宣言
第1章 こ
「伊藤がいるから俺もここまで頑張ることが出来てる」
「へ~」
思いもしなかった青木の言葉にびっくりした。

「じゃぁ、ライバルの伊藤にご褒美でもやるか」
「ご褒美?」
「そう」

ほんの少し真面目な声になって顔をあげて視線を合わせた。

「もう少し飲みに行くか?」

二人で飲みに行くなんて同期でも初めての事で
一瞬ドキドキした。
けど・・・

「残念だけど、そのご褒美は来年でも良い?」
「なんで?有効期限は今年なんだけど」

「だって」
「だって?」
「これ終電だよ?」
「知ってる」

もちろん。というように私に笑いかける。

「酔ってるの?」
「酔ってるけど、頭はフル回転してる」

嘘ばっかり・・・

「あのね?これを逃したら帰りはタクシーになるのよ」
「だな」
「なので、もう飲みには行かないで帰るよ」

電車の中で小さく抗議する私を笑いながら眺めていて。

「聞いてるの?」
「もちろん」

こいつ、同期の中でもピカイチ仕事ができる。
そのせいか、笑い方に自信が溢れてる。
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