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どうか、私を愛してください。
第2章 お願い、縛って……
「跡取りは一人いればいいんだ。俺は最初からいない人間なんだよ。アンタも可哀想だよな。兄さんに操られて……」



「操られる…?どういうことですか?」



カチッ……



ライターでたばこに火をつけながら吸っている後姿は、筋肉がついて大きな背中だけど丸くなって寂しさがにじみ出ていた。



「アンタ、恋愛経験とかほとんどないだろ?カラダも兄さんが初めてだろ?」



「それはッ……」



「恋に恋して結婚しちゃったパターンだろ。」



「そんなこと……ない…です。」



恋に恋して……言われてみればそうかもしれない。
周りも彼氏持ちが多くて結婚の話が出ている子も何人かいて憧れていた。
誠一さんは一目ぼれで結婚したけど、妻になった今でも誠一さんのこと実はあまり知らない。
仕事、仕事で――よく考えたら一緒に夕飯を食べてベッドで抱かれる日々であまり会話はしていない。



誠一さんが何が好きで、どういう学生生活を送って、どんな音楽を聞いて――
そういうこと一緒にいて5年でも知らない。
ただいつもニコニコ笑って何不自由ない生活をさせてもらっていただけだ。

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