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縄と蝋燭 ~法恵の不貞~
第4章 ■直電で話す①
幸雄- 「今ね仕事中なんだ」「16時には外出する予定なんです」
「なので、その時もう一度電話もらえませんか?」
法恵- 「ごめんなさい」「わかりました電話します」
幸雄- 「こちらこそ折角お電話いただいたのに」
法恵- 「いえいえ、ごめんなさい」

お互いに電話切った。
法恵は電話を切った途端に、まるで初めて誰かに好きと告白したようなときのように、顔が紅潮し、心臓の鼓動は激しくなっていた。
そもそも人見知りの性格から、自分から積極的に何かを起こすというのはこれまでの人生では、殆ど無かったからかもしれない。

法恵は幸雄に電話するときに相手に電話番号を通知しない非通知で掛けていたので、幸雄には電話番号は表示されていない、だから幸雄からかけ直してほしいとお願いされたのだ。

壁の時計を見ると15時25分を針がさしている。

幸雄に興味がある。
どんな人なんだろう、何をしている人なんだろう。

SMに興味がある。
何をするのだろう、本当に気持ちがよくなるのだろうか、雑誌で見た緊縛を自分も・・・・

胸の鼓動が収まらない。
自らおこしたアクションに自身ビックリしている、それに幸雄とSMに対して興味を示していることをしっかり認識したからだろう。

もう落ち着かない、家計簿をつけようとしてペンを持とうとするが、書くことができないキッチンに立って、何かしようとしても、幸雄の声が頭から離れない。
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