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　むさしの住む山形は、まあ正統派の田舎です。という訳で、夏になれば虫やカエルがピョンピョンと跳ね回るのですが……

　今日の夜見かけた、見知らぬおいたん。暑い中お仕事を頑張ったのでしょう、クールビズスタイルです。

　が、その肩には、イナゴが一匹。食ったら肉感のありそうな、大振りのイナゴです。

　一体イナゴは、どこからおいたんに引っ付いてきたのでしょう。肩の上でゆらゆら揺られ、見知らぬ土地へ向かい、新たな出会いでも求めたのでしょうか。

　「おいたん、イナゴが肩についてるよ！」とは、言えませんでした。さっき『食べたら～』とか書きましたが、むさしはイナゴ、というか虫全般が大の苦手です。食べるのなんてもってのほか!!　絶対無理!!

　おいたんに話しかけて「ギャアー、取ってくれ!!」と言われたら、私も一瞬でパニックになるのは容易い予想です。おいたんが平気な顔をして払えるメンタリティだとしても、払った瞬間こっちに飛んできたらどうするんですか！

　……とどのつまり私は、保身のためにおいたんを見捨ててしまったのです。ああ、申し訳ない。しかし、虫だけは……虫だけは駄目なんです！　あ、あとカエルと蜘蛛も駄目です。駄目なものだらけです。

　今は、おいたんが気づかない内に、イナゴがアイキャンフライして飛び立った事を祈るばかりです。

　そして、見知らぬおいたんの健やかなる人生をお祈りしたいと思います。おいたんフォーエバー。そして本当にごめんなさい。