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NEW 東 めぐみ(結菜)さんの作者ニュース

別離の間際に亡き婚約者の弟と交わした口づけを殿は知らない-
こんにちは。

 徳円には哀しい過去があったのですね。
 拙作を改めて読み返しながら、彼が次第に復讐心をいだくようになっても
 無理もないのかなとも思ってしまった作者です。

 さて、徳円が育ての母から伝えられた言葉、
-両親を恨んではいけない。両親はあなたが憎くて捨てたわけではないのだから。
恨むなら、あなたの哀しい運命そのものを恨みなさい。

 実は、これには出典があります。
 ひと昔前のことになりますが、古典の勉強を通信教育をしていた頃、松尾芭蕉の 野ざらし紀行を習いました。
 その時、弟子の曾良と旅をしていた芭蕉がとある小さな橋を通りかかりました。
 橋の下には、二、三歳の幼い女の子がいた。
 その場所は引き潮の今は浅瀬だが、水が満ちれば水面下になり、女の子が溺死して
 しまう。
 芭蕉は助けたくも助けられず、何とも言えない気持ちで、その橋を弟子と共に
通り過ぎた。
 そのときの気持ちを
-なんじが憎くて捨てたわけではない。父を恨むな、母を恨むな。
 と書いた後で
【なんじの運命のただ拙きを嘆け】と続いていました。
 私はこの場面に激しい衝撃を受けました。
 ちょうど、私の娘が二、三歳くらいのときのことでした。
 芭蕉は書いていました。
-両親は娘を殺そうとしたが、殺すことがどうしてもできず、あのような生殺し
のようなことをしたのだろうが、子供にとってはかえって残酷なことだ。
 確かに、自分たちは子供を殺したという気持ちはないけれど、子供は苦しみながら死ぬ
のは判っている。 
 酷い話だと思いました。
 ただ、そう思う一方で、子供を見殺しにするしかなかったほど貧しかった両親の気持ち
も哀れなことだとも。。。

 長くなりました。
 あれを読んだときのショックは今もまだ忘れられません。

 
[作成日]2015-04-18
16拍手

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