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「女が綺麗になれるとっておきの裏技、知ってる？」


そう言って、塗りたてのルージュが艶を刷いた唇に、あたしはキスを押しつけた。…………

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肉体関係の相手には不足しない高垣莉世(たかがきりよ)は、特定の恋人のいないまま、十年以上が過ぎていた。

このままでは将来、孤独死する──…。

焦った莉世は、ある日マッチングアプリを使うが、偶然が偶然を呼んで元同級生と再会する。

彼女の名前は、稲本みなぎ。旧姓、蜷島。

地味で内気で目立たなかったみなぎを、最初、莉世は思い出せなかったが、彼女の部屋にポルノ映像のDVDが隠し損ねてあるのを目に留める。


「この女の子みたいなこと、されてみたいんでしょ」

「それか旦那さんとやってるの？」


煌びやかで自信溢れる女達ばかりが周囲を固める環境にいて、莉世は毛色の違うみなぎに新鮮味を感じていた。


「そんないかがわしい物、いつも持ち歩いてるんですか？！もしかして……初めから私を虐めるつもりで──…」

「人聞き悪いこと、言わないで。今夜は可愛い可愛い後輩ちゃんと、楽しむ予定だったのに。……そのいやらしいハーネスくらいしか、使えなくなっちゃったなぁ」

「さっ……最低！道徳に、はん、します……っ！！」

「お腹を空かせたペットみたいに、分かるように欲しがってくれればやめてあげる」


貞節にそれほど重要性を感じてこなかった莉世は、昼間も夜もあえて刺激を遠ざけてきたみなぎの被虐嗜好を暴き、彼女の本質に惹かれていく。