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藍子という娘
第4章 ■父と娘
妻が亡くなった時、藍子は4歳であった。
当時、37歳で子持ちヤモメになった洋二は会社でも働き盛りで、責任のある仕事も多く抱えていた。

洋二は両親の力を借りて、日中は藍子の面倒を見てもらっていた。
仕事の都合で遅くなることも多くあったが、藍子を預けることはなく、遅くなっても必ず迎えに行き、毎日藍子そばにいた、たくさん話をして、絵本を読み聞かせ寝かせる毎日、精一杯の愛情を藍子に注いだ。

洋二に再婚話もあったが、仕事にも家庭にも、自分自身も真面目であった洋二は藍子を一人で育てること、少なくても藍子が自分の手元から旅立つまでは、再婚をしないことを決めていた。

これまでは妻と一緒だったベッドに、藍子と二人で寝るようになり、中学に上がっても、当たり前のように洋二と藍子は同じベッドで寝た。

普通、女の子が中学生くらいになると反抗期を迎え、父親を汚いと嫌い始めるものだが、藍子にはそれがなかった。

「お母さんが欲しい」と泣き付かれたこともあった、母親がいないことで辛い思いをさせたことも何度もあった。

中学生の藍子には、これまで辛い事があっても、悲しい事があっても、父親として藍子に精一杯の愛情を注いでいた、休みの日にはドライブや、テーマパークへ遊びに連れて行ってくれた、藍子の洋服など買い物もついてきてくれる、そんな洋二に藍子は感謝していた、それと同時に父親として、理想の男性として洋二の事が大好きだった。
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