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藍子という娘
第5章 ■娘の告白
洋二- 「ダメだって」
    「冷静になりなさい」

藍子- 「藍子は冷静だよ」

確かに藍子の言っている通り、特に興奮している様子もなく、冷静に話をし、聞く姿勢もみえる。

洋二- 「なんでなんだよ」

藍子― 「お父さんが、家のことをしっかりしてくれて」
    「お母さんのようでもあったし」
    「遊びとか連れて行ってくれたり、買い物に付き合ってくれる」
    「彼氏のように思える時もあったの」
    「お父さんが理想の男性なの」
    「他の男子が気になったこともあったけど、お父さんのように強く優しくない」
    「理想の男性がそばにいるなら、好きになってもいいと思うの」

    「お父さんがすきなの」

    「それに、小6の時、生理が来たの、覚えてるでしょ」
    「お母さんにも、生理があって子供が作れるようになって」
    「お父さんと結婚して、私が生まれた」
    「私も生理が来て、お腹痛くて、気持ち悪い事もあるけど」
    「子供が作れるんだ、結婚できるんだ」
    「女として男子とお付き合いして結婚したいって思い始めたの」
    「そんな思いが、なんか頭の中で色々回って考えたの」
    「そしたら、お父さんが一番好きというのが、はっきり判ったの」
    「結婚とかしなくていいの、お父さんの奥さんになりたい」

洋二は戸惑っていた、父親としての愛情注ぐ、自分の使命として、違う愛情を考えたこともなかった。
娘が大きくなり、恋愛をして結婚するのだろうと当然思っていた。

それが、藍子の「奥さんになりたい」の一言とキスで戸惑っていた。
キスは妻が亡くなってから、したことがなかった、柔らかくツヤツヤのマシュマロを唇に当てた感じがした。

でも、やはり洋二は父親である。
ニコッと笑顔を作り洋二は藍子に話しかける。

洋二- 「藍子、お父さんも藍子の事が大好きだよ」
    「でもね、お父さんお奥さんは、お母さんだけだよ」
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