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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第5章 眼差しのテンプテーション
桃子の目には、涙が滲んでいた。
「桃子っ……」
駆け出そうとする美名を、綾波が止める。
「犬も喰わないって言うだろうが……放っておけ」
「で、でも……」
「あいつらも大人なんだ。もう少し様子を見よう」
「……とか言って、剛さん、何だか面白がってない?」
「……バレたか」
舌を出し悪戯に笑う彼を美名が睨み付けた時、一際大きい桃子の声が響いた。
「三広のバカ――!浮気でもなんでもすれば――っ!?」
桃子が、飲み物の入ったグラスを三広にぶちまけようと手を上げた。
「も、桃子っ!」
美名が綾波の腕をすり抜け駆け出した時、桃子と三広の間に割って入った人物がいた。
「なっ……」
美名と綾波は同時に絶句する。
日比野が三広の代わりに頭から水を被り、そして優雅な笑みを浮かべていた。
「……お客様、どうか、お静かにお願いいたします……」