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第5章 眼差しのテンプテーション

　日比野は、美名の顎を優しく指で撫で囁いた。



｢君はとても美しくて……可愛い……この先も、沢山の誘惑があるだろうね……そんな時、彼は君を守りきれるのかな？｣


｢――っ｣



　触らないで、という言葉が喉まで出かかるが、声が詰まったかの様に何も言えなくなり、彼の目を睨む。



｢私は……恋人達が壊れて行くのを……数多く見てきた……あの彼だって男だよ……今頃何をしているか分からないだろう……？｣



　日比野は、見詰める者総てを蕩けさせる様な眼差しを美名に浴びせ、頬を撫でた。


　美名は唇を噛み締め俯くと小さく呟いた。



｢……る……い｣


｢ん……？｣



　日比野は、美名の顔を覗き込む。