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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第6章 リトルプリンセスとプリンスの憂い
すると、奥のスタッフルームから柳が血相を変えて飛んで来た。
「灰吹様っ!どうされましたか?」
「い……たた……な、何でもありませ……」
美名は、手を押さえその場にうずくまり引きつる笑顔で取り繕うが、本来の自分の目的を思い出し、痛みを堪え立ち上がりキッと唇を噛む。
「日比野チーフとお話は済みましたか……?」
柳が首を傾げて訊ねると、美名は大きく頷いた。
「――ハイッ!済みました済みました――!」
「日比野チーフは……お優しいから先程の事は何も気にしていないと思いますが……」
「そうですねっ!日比野さんはお優しくてムカつき――
……はああああっ?お優しいっ!?」
美名が目を剥くのをよそに、柳は両手を胸の前で組み頬を染めてうっとりしている。
「日比野チーフは、スタッフ達の憧れで御手本なんです……大きな仕事から雑務に至るまで、完璧にこなすばかりか、スタッフ一人一人をちゃんと見ていてくれて……」
「う……へ……ほ~……そ、そうなんですね……」
美名は、日比野の苦情を言うつもりが出鼻をくじかれてしまい、モゴモゴと口ごもった。