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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第6章 リトルプリンセスとプリンスの憂い

部屋のドアを開け、また長い溜め息が出てしまう。
「はあ――っ」
靴を脱ぎながら半ばヤケ気味に放ったそれはもはや溜め息というレベルでは無かった。
ホテルのスゥイートは、独りで過ごすのにはいささか広すぎる。
白いソファに腰を下ろして、綾波が贈ってくれた限定のバニっぴー人形を胸に抱いて独り言を呟いた。
「……桃子に……キャラメイトでお土産を沢山買ってあげるつもりだったのに……」
美名は、スマホを出して桃子の番号にかけてみたが、留守番電話サービスの機械的なアナウンスが聞こえてきて、失望と共にスマホの画面を指で弾いた。
「まあ……子供じゃないし……ちゃんと無事に帰れると思うけどさ……」
次は綾波にかけてみるが、同じように留守番電話になっていた。
「ええ――っ……」
がっくりと肩を落とし彼に言われて着た可愛くてセクシーな自分の黒いドレスの布を指で摘まんだ。
「つまんない……」
思わず出てしまった言葉が、更に自分を落ち込ませる。

